バルセロナから日帰りで行ける町を紹介していきます。
フランス国境に近いこの町は、サルバドール・ダリゆかりの土地「フィゲラス」。
彼自身が創設にかかわったダリ美術館と、ダリをはじめとする芸術家たちが過ごした小さな漁村「カダケス」についてつづります。

バルセロナからフィゲラスまで車で1時間半。バルセロナ・サンツ駅からも列車に乗って1時間半から2時間半で行くことができます。
この町を訪れる人の目的の多くはダリ美術館でしょうか。

美術館の紹介より先に

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ダリの死から27年経った2016年、10年ぶりに日本でダリ展覧会が開かれました。

京都と東京それぞれで展示され、見に行かれた方も多いのではないでしょうか。
何と言っても、あのインパクトのある作風で知られるダリの展覧会ですからね。

サルバドール・ダリって?

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特徴的な髭がトレードマーク。生まれ故郷はフィゲラス。
20世紀を代表する画家の1人とされていて、絵画にそれほど興味がなくても、美術の教科書などで1度は彼の絵を見たことがある方も多いのではないでしょうか。

溶けたようにぐにゃっとした時計の絵に見覚えはありませんか?“記憶の固執”という、とても有名な作品です。
時間が崩れる、枯れ木は死を象徴する表現として描かれ、死が時間を消し去り物質が崩れていく様を象徴的に表したのが、あの時計だったのだとか。

うーん、言われてみれば?とにかくインパクトがある絵には間違いない!

天才か?変人か?

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奇想天外で意味不明な作品多数、常識はずれでスキャンダラスな行動をしていたダリ。自己プロデュースをした初めてのアーティストとして有名です。
絵画だけではなくハリウッド映画、ジュエリーデザインなども手がけ、他の芸術仲間には敬遠されていたようなところもあったのだとか。メディアでは、ピエロのように派手に振る舞う様子がおなじみでした。

しかし、ポルト・リガトにある「卵の家」と呼ばれるダリのアトリエは、彼の内面が外で見せているものと決して一致していないことが見て取れます。
奇妙なキャラクターは多くの人を惹きつけましたが、実はこの内面のほうがより本来の彼を物語っているのかもしれませんね。

ダリ劇場美術館

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屋根には巨大な卵、壁に無数のパンがくっついている「なんじゃこりゃ!?」な建物です。
美術館の中はダリの絵から飛び出してきたような空間でとっても楽しそう!

美術館の地下には、ダリ自身のお墓があります。
館内の床の一部分だけが異なる色になっており、その場所こそが、サルバドール・ダリの眠る場所です。踏まないように!

いや、ダリは踏んでも仕方がないような場所にお墓を作り、知らずに踏んで驚いた人を見てこっそり笑っているのかもしれませんね。

《ダリ劇場美術館》
■開館時間
3〜6月、10月 9:30〜18:00
7〜9月 9:00〜20:00
11〜2月 10:30〜18:00
■休館日
10〜5月の月曜、1/1、12/25
■入場料
12€ 学割9€

カダケスで生まれたダリの原点

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フィゲラスから東へ約30キロのところにある避暑地です。暖かい気候、青い海、美しい白壁の美しい古い町並みがダリを魅了しました。
アンダルシアだけでなく、スペイン北東部でも海岸沿いには白壁の町があるのです。“背後から見たカダケス”を描いた当時より、芸術に目覚めたのだそうです。

ダリは、カダケスのクレウス岬にある自然が生み出した奇妙な岩の数々を見て、そのいびつで幻想的な岩をモチーフに自身の歪んだ内面を表現しようとしたそうです。
こうして生まれた作品が、スペインを代表するマドリッドの国立ソフィア芸術センターに展示される“大自慰者””です。この作品で「シュルレアリスト」としての第一歩を踏み出したのだとか。

シュルレアリストとは、シュルレアリスムという人間の心の奥底に潜むものが、夢の中に現れたり色んなかたちをしたものを分析しながら表現する人たちのこと。
ダリが描く独創的な絵の根元にあるもの、それがこのシュルレアリスム。

シュルレアリスムに加えて、カダケスやポルト・リガト、クレウス岬などの素晴らしい日差しは、ダリの作品に強い影響を与えた場所なのです。
凡人にはそんなもの何も感じないかもしれませんが、あれだけの強烈なキャラクターの1部が培われた場所、とっても気になりますね。

バルセロナから日帰りの旅に、フィゲラスやカダケスはいかがでしょうか。