建築物のお話の前に、まず最初にスペインというかイベリア半島の歴史を少し。
イスラム勢力が初めてイベリア半島に侵入したのは711年のこと。気が遠くなるような昔のことですね。756年にはコルドバに首都をおき、イベリア半島で最も古いイスラム建築であるメスキータを建設しました。
その後、1194年にセビージャにヒラルダの塔が完成。1232年にはグラナダでアルハンブラ宮殿の建設が始まりました。
こうしたイスラム教徒に支配された歴史を長く持つアンダルシアだからこそ、今なおその土地にイスラムの文化や伝統が町に遺っているのでしょうね。
ムデハル様式とは?
簡単に言うとスペインの建築様式の1つで、イスラム建築とキリスト建築が融合したスタイルのことです。
またイスラム建築の影響を受けた建築物とも言えます。
イスラム王朝は、既存のキリスト教の施設を破壊せずにカテドラル(大聖堂)とモスクを同敷地内に共存させてきました。(例:コルドバのメスキータ/写真上部はキリスト教徒によって改築された部分、下部のアーチはイスラム教徒によって造られた部分)
そしてレコンキスタによって、キリスト教徒がその国土回復運動によってイベリア半島を治めた後も、イスラムの建築物は、キリスト教徒に破壊されることなく共存して今日に至るまで受け継がれています。
古都コルドバのメスキータ
メスキータは、スペイン語でモスクを意味します。
赤と白が交互に組み合わさったアーチを支える円柱は、約850本!イスラムの祈りの空間がそこに広がっています。
またコルドバには銀細工や革細工などの工芸品も受け継がれており、幾何学模様などをモチーフにした素敵なお土産がみつけられそうですね。
セビージャの宗教文化が融合したカテドラル
セビージャ大聖堂はイスラム時代のモスクを基礎に建設されました。
そのためルネッサンス様式に改築されていはいるものの、敷地内にはミナレット(イスラム時代礼拝の呼びかけをする)がヒラルダの塔として遺されています。
グラナダに遺されたイスラム文化の結晶
アルハンブラ宮殿はイスラム建築の最高傑作と言われ、幾何学模様や緻密な透かし彫りなど宮殿に施された装飾の数々は訪れる人々を魅了します。
約170年もかかって完成したそうな!!建築当初の関係者は完成は見られませんねぇ。キリスト教徒に宮殿を明け渡した後も、とても良い保存状態のまま今日に至ります。
またグラナダには寄木細工の伝統工芸が残っており、こちらはお土産として申し分ない一品となるでしょう。
旧市街のアルカイセリアあたりには、イスラムを感じさせるお店があり、グラナダ焼きにタイル、モロッコで見られるようなモザイク照明などの雑貨が手に入りますよ。
さてスペイン・アンダルシアのムデハル様式のいくつかをさらっと紹介しましたが、まだまだイベリア半島にはイスラムの文化が遺されています。
スペインを訪れる際には、目当ての観光スポットがどんな歴史を持つのか少しでもリサーチして行くと、現地でもっとたのしめるのではないかと思います。