スペイン北西部にあるサンティアゴ・デ・コンポステーラは、キリスト教3大聖地の一つとされる町です。
キリスト教に馴染みのないものにはピンとこないもので、他の聖地ローマやエルサレムのように、ここサンティアゴへも特に目的が見出せずにいます。
しかし、ヨーロッパ各地から数多くの巡礼者がフランスとスペインとの国境ピレネー山脈を越え、巡礼の最終目的地のサンティアゴ・デ・コンポステーラを目指します。
そんな巡礼の旅の、ほんの一部分をのぞいてみましょう。
なぜサンティアゴ・デ・コンポステーラが聖地とされるのか?
それは「聖ヤコブ(スペイン語でサンティアゴ)のお墓がある」とされる伝説が伝えられているからです。
聖ヤコブとはイエス・キリストの十二使徒の1人で、使徒とは弟子の中でも特に優れた高弟のことを指します。
キリスト教についてあまり知らなくても、あのレオナルド・ダ・ヴィンチの“最後の晩餐”に、キリストと共に描かれているのが十二使徒だと聞けば、何となくキリストに近しい人物なのだろうとイメージできるでしょう。
その中の1人聖ヤコブのお墓が、サンティアゴ・デ・コンポステーラにあるという話は瞬く間にヨーロッパ中に広がり、大勢の巡礼者がこの地を訪れるようになりました。
最盛期には、年間50万人もの人々がサンティアゴを目指したのだとか。
ピレネー山脈から巡礼の旅を始めたら、その距離、約800kmもあります!!
かつての巡礼者達の足跡をたどる
巡礼者が増えるにつれ、その巡礼路も自ずと整備が進んでいったようです。
また、中世から続く巡礼路を通ると、あちこちにスペイン・ロマネスク様式の教会が見受けられ、観光しながら旅を進めることもできます。
現在では、かつてのように巡礼路の行程全てを徒歩でたどる人は少なくなっており、鉄道やバス、レンタカーや自転車などを組み合わせたり、それぞれの巡礼者のスタイルで旅をしています。
彼らのバックパックなど荷物のどこかには、ホタテ貝やひょうたんがぶら下がっているのに気がつくでしょう。
合わせて杖をついていたら間違いなく巡礼者!“Buen camino!!”よい巡礼を!と声を掛け合いながら旅をすすめます。
巡礼の旅の道中あちこちで
巡礼路にはルートを示す標識と黄色い矢印があり、土地に不案内な者でもサンティアゴを目指すことができます。
あまりキリスト教と縁がなくても、サンティアゴまでの道中を楽しめそうな気がします。
だって、特に仏教に熱心じゃなくても四国八十八ヶ所巡りする人たちだっているのだし、人生に迷ったら、クリスチャンでなくても巡礼の旅はいかがでしょうか?
もちろん、迷いなどなくてもスペイン横断の旅をぜひお楽しみください。