ドン・キホーテは読んだことはないけれど、その物語の存在は知っているという方は多いのではないでしょうか?私もその1人でした。
今ほどスペインの魅力にとりつかれる以前から、聞いたことはあっても読んだことはありませんでした。

ドン・キホーテのお話をものすごく簡単にすると、ドン・キホーテという自分を騎士だと思い込んだ老人が、ラ・マンチャを舞台に繰り広げる抱腹絶倒の物語。
つい最近読んだので、スペインはラ・マンチャ地方の風車のある風景をテーマにつづります。

ラ・マンチャ風車の村を目指すには?

マドリッドからアルカサル・デ・サン・フアンに向かう鉄道の旅になります。
特に、風車とドン・キホーテで有名なカンポ・デ・クリプターナという村までは列車の本数が少ないため、まずは手前にあるラ・マンチャ地方の玄関口であるアルカサル・デ・サン・フアン駅に行き、そこからタクシーで向かうのがいいでしょう。

駅から東へ約8kmのところにある、カンポ・デクリプターナを目指しましょう。
マドリッド・アトーチャ駅から90分の鉄道旅です。車窓からも風車を見ることができます。
遠くに見える風車の村エル・ロメラル村の近くを通過するだけなので、ラ・マンチャが近づいたらどうぞお見逃しなく!

また、アルカサル・デ・サン・フアンはミゲル・デ・セルバンテスが生まれ育った町だと言われており、風車はなくても町のいたるところにドン・キホーテにちなんだものがたくさんあります。
気になる方は、往来の列車の時刻表と相談しつつ、ぜひ駅での待ち時間を有効に使いましょう。

風車が見下ろすカンポ・デ・クリプターナの村

町の入り口には作品にちなんだ像があります。
このカンポ・デ・クリプターナで、主人公ドン・キホーテは、風車を巨人と見間違え、槍を手に風車に突進しあえなく大地に吹き飛ばされるシーンがあります。

町中のスペイン広場にもドン・キホーテの像があり、カンポ・デ・クリプターナの町はまさにドン・キホーテの物語そのものだと言えますね。
広場から続く坂道には、ドン・キホーテの愛ロバ?ロシナンテの名前がつけられています。

坂道は丘の頂に続いており、10基の風車が並んでいます。ドン・キホーテが巨人と思い込んで突進したインファンテの名がついた風車があります。
町の中心にあるマヨール広場には、ドン・キホーテの著者ミゲル・デ・セルバンテスの像を見ることもできますよ。

かつては製粉作業をしていた風車

風向きに合わせて回転する屋根を、手押し棒で押して風向きに合わせて風車を回す、それはこの地方独特のものだそうです。
後に紹介するコンスエグラの風車とも、少し見た目が違っていますよ。

これら名物の風車は一時は朽ち果てたものの、故郷を懐かしむラ・マンチャ出身の海外移住者が資金を提供し、今日までその姿が守られているそうです。

ラ・マンチャの名産品

スペイン全体で見てもそうですが、ラ・マンチャもオリーブがよく取れる土地柄です。

またスペインは、ぶどうの作付け面積が世界一。中でもラ・マンチャ地方は国内一の生産地です。
ぶどうの理想的な栽培地で、抜群に糖度の高いぶどうで名産のワインが作られています。

そしてスペイン料理のパエージャに欠かせないサフラン。紫の綺麗な花びらの中にある赤い雌しべだけを収穫します。
花ひとつに対して3本しか取れず、萎れないよう早朝に収穫して手作業で雌しべをとるあたり、高級食材なのが理解できますね。

最後にイスラムの時代から続く放牧が伝統で、羊の乳から作られるマンチェゴチーズが名産です。
塩気が強いので、ジャムや蜂蜜をかけて食べます。ワインにチーズに酒飲みにはたまらない土地でしょうね!

一時は人間以上に羊が大切にされ、それに反感を抱いたのが世直しの騎士ドン・キホーテです。
羊の群れに突進した、何頭かを槍の餌食にしてしまう。怒った羊飼いに散々な目にあわされる、ドン・キホーテにはそんなエピソードもあります。

日本からスペイン行きのツアーの中に、バスで風車を見に行くものをよく見かけます。
列車でもアクセスがあまり良くないためだと思われますが、スペインを訪れた際には風車の丘がある風景を見に行ってみてはどうでしょうか?